データ
- 名称
- 奉納絵馬「潮干狩之図」
- 指定等区分
- 市重要文化財
- 指定年月日
- 平成18年3月31日
- 種別
- 絵画
- 所在地
- 会田4040-1
- 所有者
- 会田御厨神明宮
- 時代区分
- 江戸時代
- 付加事項
所属カテゴリ
- テーマ
- 松本城とその時代
- 地域
- 四賀地区
- 分野
- 絵画・工芸品
地図
解説
海のない四賀につたわる潮干狩りの絵馬
会田地区の会田神明宮(しんめいぐう)にある絵馬で、海のない地域では珍しい、潮干狩りの様子が描かれています。縦77.0cm、横159.0cmと大きな絵馬で、杉板に彩色され、周囲を額装しています。製作時期は天保2年(1831)の銘があり、銘文は画面落款(らっかん)に
「天保二 辛卯 花月 北鵞齋弘探 印(朱文)印(白文-弘探画印)」
裏面墨書は
「天保二 辛卯 三月 原山村 明照院弘探 敬白 越後國 大工 藤村音松作之」とあります。
本絵馬の筆者である北鵞齋弘探の経歴については不明な点が多いです。彼が絵馬の裏面に墨書する原山村(現中川地区原山町会)には、明照院という寺院は歴史的に存在しません。しかし、原山村には、かつて修験者が住んでいたという伝承がありますので、弘探は明照院と称する修験僧であったのではなかろうかとも考えられます。また当地には、無住のお堂と弘探を結びつける史料も伝存していません。
現状は、彩色の剥落や褪色が進み生彩を欠きますが、遠景に、その頂をみせる富士山と山なみ、松樹、そして海に浮かぶ白帆の舟を配し、中景から近景に、砂浜で潮干狩に戯れるからこの童子、また着物の裾をはしょり潮干狩に興じる女性、世間話に手を休める美人女性を描いています。江戸庶民の暮らしをかいまみせるほのぼのとした絵馬です。人物は遊女、または芸妓(げいこ)とみられます。それらの美人女性の、艶やかな雰囲気が伝わってきます。彩色は、紅、藍、緑青、墨などを効果的に用い、さらに砂浜の表現のために、梓川の黒砂を用い、実在感を出すなどの工夫をこらしたと伝えられています。海を持たない信濃では、このような絵馬の奉納は珍しく、おそらく神明宮に詣でた土地の人たちにとって、珍しい風景と感じたに違いありません。

